きょんきょん(地方議会・政党)

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【社会民主党】地方議員の動向(1) 北海道

1、概要

 2019年12月、立憲民主党枝野幸男代表(当時)が行った社会民主党への合流呼び掛け(1-1)、これを受けた社民党では合流の賛否について議論が交わされた。残留派と合流派の激しい路線対立の後、「立憲民主党・枝野代表からの『よびかけ』への対応」。骨子は「社民党を残し、社民主義の実現に取り組む」という選択と同時に「『よびかけ』に応え、立憲民主党へ合流し、社民主義の継承・発展をめざす」という選択のいずれも理解し合う」とする議案が臨時党大会にかけられ、賛成84、反対75という僅差で可決された。(1-2)

社民党に残留した福島瑞穂党首(出典:参議院)

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 この結果、社民党は多数の離党者を出し、そのうちかなりの割合で立憲民主党に合流し、政党内派閥である「社会民主主義フォーラム」を設立した。(1-3)(1-4) 本稿を始め、社民党所属地方議員の動向シリーズでは、2020年まで社民党に所属していた地方議員たちが、立憲への合流と社民の残留、そのどちらを選択したのかを扱う。

2、政治資金収支報告書の記載

 2020年分の政治資金収支報告書が2021年11月に公開され、公式サイトで所属議員を公開してこなかった都道府県連に関しても所属議員の確定が可能となった。

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 上記の画像は、北海道選挙管理委員会に提出された、「社会民主党北海道連合」の2020年分政治資金収支報告書の1ページだ。(2-1) 社民党北海道連に所属する議員については公式サイトやメディアの報道からは厳密に確認出来ないが、社民党は党所属の地方議員が都道府県連に寄付をするのが一般的であり、ここから所属議員を推定することができる。




3、社民党北海道連所属議員の動向

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 上に示したのは社民党北海道連に所属していた地方議員の合流に対する動向だ。所属議員4人(全員市議)のうち、根室市議だった波多雄志議員は2021年の市議選に出馬せず引退しているが(3-1)、残り3人は社民党に残留している。

(1) 長岡 充洋(ながおか みつひろ)

長岡充洋 室蘭市議会議員(出典:室蘭市議会)

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 1期目の長岡充洋室蘭市議は、市議会では立憲・社民の会派「市民ネット・むろらん」に所属している。(3-2)(3-3) 本業は自動車買取販売業で本人のTwitterなどに記述がある。(3-4)(3-5) 長岡氏については社民党に残留している明確な証拠は見当たらなかったが、立憲民主党の所属議員一覧に名前がなく、北海道の立憲民主党員の知人が社民党に話を聞いたところ社民党現職地方議員の離党は無かったとのことで、残留している可能性が高い。また、社民党の合流容認議案の臨時党大会可決が2020年11月14日であるにも関わらず、収支報告書によると同年12月21日に社民党道連に128,320円の寄付をしていることからも社民党に残る選択をしたと考えるのが自然だ。

(2) 富岡 達彦(とみおか たつひこ)

富岡達彦 名寄市議会議員(出典:名寄市議会)

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 名寄市議1期目の富川達彦氏も立憲民主党社会民主党系の会派「市民ネット」に所属する。(3-6)(3-7)国鉄マンであり、森林組合に務める傍らで廃線となった深名線の廃駅を活用し、妻の由起子さんと民宿「天塩弥生駅」を切り盛りしている。(3-8)(3-9)(3-10) 最近の更新も続く本人のFacebookに「社会民主党党員」との記述があり、現在も社民党に所属し続けていることが確認できる。(3-11)

(3) 宮田 団(みやた まどか)

宮田団 釧路市議会議員(出典:釧路市議会)

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 釧路市議の宮田氏も立憲民主党社会民主党の会派「市民連合議員団」に所属する。(3-12)(3-13) 48歳ながら既に5回の当選を重ねており、地元小学校のPTA会長も務める。(3-14) 2021年10月24日に自身のFacebook社民党比例代表候補の宣伝をシェアしているなど、社民党に現在も所属しているのは確実だろう。(3-15)

(4) 波多 雄志(はた たけし) 
 先に述べた通り、波多氏は根室市議会議員を務めていたが、2021年の市議選に出馬せず引退している。後継候補の存在は調査したが判明には至らなかった。社民党道連幹事長の浅野隆雄氏の投稿から、市議会議長を務めていた時期があることが確認できる。(3-16)

※ 滝口 信喜(たきぐち のぶよし)
 さて、政治資金収支報告書の掲載されている地方議員のうち、社民党の党籍がないと推測される唯一の議員が滝口信喜道議だ。滝口氏は元々民主党所属だったが、2015年北海道議会選挙の後、民主党会派ではなく新党大地系議員らと会派「北海道結志会」を結成したことで道連から離党勧告処分を受け、離党している。(3-17)(3-18) したがって、社民党に党籍があることは考えにくい。

滝口信喜 北海道議会議員(出典:滝口信喜公式HP)

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滝口紘子 室蘭市議会議員(出典:立憲民主党公式HP)

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 2019年の北海道議選では社民党の他、立憲民主党や国民民主党の推薦も得ており、野党系無所属ということが出来るだろう。(3-19) ところで、滝口信喜連合後援会事務所の職員だった滝口紘子氏が2019年の室蘭市議選に無所属で出馬し、大差でトップ当選している。(3-20)(3-21)

 北海道政界の政治資金収支報告書などについてまとめていることで知られるAmebaブログの道政アトラスは紘子氏を信喜氏の娘としているが、真偽は不明である。(3-22) しかしながら、同姓かつ、ちょうど親子ほどの歳差がある紘子氏が偶然信喜氏の事務所で働いていたとは考えにくく、何らかの縁戚関係にあると看做すのが自然だろう。実際に滝口紘子氏の事務所と滝口信喜氏の事務所は同じ建物に入居しており、Googleストリートビューで確認すると、山岡達丸氏、信喜氏のポスターが確認できる。(3-23)(3-24)

 さらに、信喜氏は民主系政党との関係を改善しているようで、2021年の衆院選には立憲民主党山岡達丸氏の選対本部長に就任した上、北海道新聞のインタビューに以下のように答えており、立憲民主党との距離の近さを伺わせる。(3-25)

選挙戦後半は政策の違いを明確に訴えたい。具体的には金融所得課税や法人税の見直しなど格差是正につながる政策、選択的夫婦別姓ジェンダーの問題など立憲でなければできないテーマだ。子育て世代の経済支援や国公立大学の授業料半減など山岡氏が子育て世代であるからこその政策や、新型コロナウイルス対策も引き続き訴えたい。

加えて縁戚関係が推定される紘子氏は現在立憲民主党に所属しており、以上の経緯から、滝口氏は社民党籍ではなく立憲民主党系無所属と考えるのが自然である為、筆者は所属議員とみなさない立場をとる。

4、まとめ

 社会民主党北海道連合の合流に関する動向は、オンライン上に情報が見つからない為、政治資金収支報告書を用いた推測が必要となった。しかしながら所属地方議員の動向を整理すると、北海道連は基本的に存続派であったと言えそうだ。

 今後もこのシリーズでは社民党の所属議員の合流についてまとめていく予定です。面白いと思ったら読者登録を、また、Twitter、noteでは選挙分析や政党の派閥、政局などについてまとめておりますので、ぜひぜひフォローをよろしくお願いします。

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